詩と小説の書籍とzineなどを販売しております。
白昼堂々堂へようこそ。
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詳しい予感 / 泉由良 (初版)
¥1,000
同人誌に寄稿した短篇、 ネットプリントで配信した作品、書き下ろし作品、 そして今後発行する予定の長篇小説のスピンオフ短篇を含む、 10作で構成する短篇集。 アパートの一室に日々氷を運び込んで暮らす女性と彼女の護った世界の悲劇、 水中花に知能を与える実験を行なう未来の科学者たちと謎の試験体。 女装を趣味とする少年とロリータファッションを愛する少女のふたり組。 激しい恋。姉への思慕。嘘が難なくつけるようになる魔法のリップスティックと尾道へのノスタルジア。クラシカルから近未来SFまで。激しいエロスから純真な夏の予感まで。少女世界の銀河鉄道に始まり、あなたの心のなかの星物語に終わるこの一冊で、 あなたはもっと詳しくなれる。 泉由良短篇作品2010年代の総括。 ※この本の初版は残部少数です。 重版するとやむを得ず価格が上がる予定です。どうぞ、ご一考ください。
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桃の夢・M氏の幸福 / 泉由良
¥600
夢のなかでは老いも無く病も憂も無く安らかでいられるから、 現実だなんてそんないつか死んでしまう物語は、問わないで。 ・ももの夢 ・桃の夢(詩) ・さよなら楓ちゃん ・M氏の幸福 ・さようならしずるちゃん を収録しています。およそ200頁の文庫本(カヴァ付き)です。 夢のなかで子どもの頃の友だちと過ごしていて、でも目覚めたらそれが誰なのか思い出せない。夢で空想の友だちを作っているのかも知れないけれど──でも、本当にいたんだと思う(「ももの夢」) 一生仲良しだと思い込んでいたあの子と私の、子うさぎと子ぶたのぬいぐるみの、話(「さよなら楓ちゃん」) M氏の生涯の夢をみた。天才子役をかばい、しかし自身は更に孤高であった、私の大好きなM氏のこと(「M氏の幸福」) 一生仲良しだと思い込んでいたあの子と、最低な私と、それから幾つか、そしてこぶたバムセ、つまり愛情についての2020年疫病流行の年に書ける(「さようならしずるちゃん」) 「さよなら楓ちゃん」は別短篇集『ミルチリカル』にて、「M氏の幸福」は『文藝誌オートカクテル不条理』にてそれぞれ収録されていますが、本書に収録する形でぬいぐるみオムニバスとも云える、違う側面をお見せすることが出来る一冊となっています。 どうぞよろしくお願いします。
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すな子へ / 泉由良
¥600
知らぬ間に街を侵食してゆく「珈琲人形」と物書きの「私」と、 紅茶屋の娘「すな子」の失踪に織りなされる前篇。 贋作春画師の男と同棲を始めた「すな子」の恋の激しい顛末を描く後篇。 時代は抄果十三年。開国東京に置き去りにされてしまったこの街で、 すな子を愛する。すな子をおもちゃにして遊ぶ。自己嫌悪でまたすな子を抱く。 どうせ人形なのだから。 著者はこの本に詩を書き込むことで、すな子をなぶり続ける。 ──どうせ人形なのだから。 平易な文章の裏側に隠された激し過ぎる恋を、小説と詩と写真を交ぜて物語る一冊。 〝すな子は生涯を賭してでも、愛のある場所を知りたかったのだろう。 須藤は真実の生き方の為には死にたくてどうしようもなかったのだろう。 ふたつの孤独。〟
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ウソツキムスメ / 泉由良
¥600
短篇集 『アイネ・クライネ・ナハトムジーク the forth person』 白い建物で暮らす多重人格の少女とその看護師の掌編。 『欠如のこと about my sixth hole』 「僕」は欠けている、その欠如についての話。 『海に流す goodbye from seaside』 「雨の降る海を見にゆこう」とデイトに誘って嘘を話す彼女について。 『落ちてくるくじら the fallen whale』 夏の日、私は塀に座って従兄弟たちの帰りを待っていた。 夏が好きな人は夏に死ぬ。私も夏に死にたい。 台所でカルピスを飲みながら、くじらの降臨を想像していた。 従兄弟たちが発見する、空を覆うくじらの降臨。 『秋雨秋子』 秋子は世界一周に旅立ってしまった、至って冒険心の強い私の妹だ。 秋子から家に音沙汰が無いまま、1ヶ月以上が過ぎた10月の日のこと。 『ナナンタさんの鈴の音』 子どもの頃、私の家の近所には「ナナンタさん」がいた。 ナナンタさんは悲しいときには鈴を鳴らして呼べるようにと、成長する四季折々、私に何色もの糸の鈴を、それぞれくれた。 子どもにとって、親とは違って無責任にまで奔放に愛してくれた、ナナンタさんの記憶。 『春眠』 飾り窓のお姉さんを見つけたのは春だった。 お姉さんはいつしか「おやすみなさい、」と云って、そしてもういなくなってしまった。 冬を生き延びられない動物はそのあいだ眠って季節を越すとおおきくなって知ったあたしは、思った。 お姉さんはいつになったら、生き延びられる季節まで眠れたのだろう。 『翳り』 どうしてこんなに早く夏がいくのと私が云うと、夏至を過ぎたからねえと姉が云う。 夏が翳り、嘘の話をする姉が怖いような気がした。けだるく恋しく、私たちは嘘と夏に狂ってゆく。 嘘を吐いて生きてきた、大人になっていった、 嘘を吐くこの罪に巡る罰の恐怖に耐えられない、 嘘を吐く自分でしかいられない、生きていけない、 やっぱりまた嘘を吐いて、頽れそうそうで、 それでも、「あなたがおおきくなったことが嬉しい」と、 云ってくれたひとがいた。 人は失い、彼女は狂う。夏が翳る。 14歳だった1999年から、2007年までのあいだに8つの短編。 冨田風子のカラー口絵、挿画付き。
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リアルレアリズム宣言 / オカワダアキナ×ひのはらみめい×泉由良
¥700
2018年9月、文学フリマ大阪の前夜にお泊まり合宿をした際に書き下ろした、お互いにお題を出し合いっこしてつくった手製本の赤い本(『シュルレアリスム宣言2018』) 2019年、更に互いに課題を与え合って執筆された短編を足して、製本された1冊の本になりました。リアルレアリズム宣言。を、我々は、唱える──。 あのとき、あのひとを、ああいう風に愛せばよかったんだって、 気付くのはいつもあとだな。 シュールで少し狂っているのに、たいそう真面目に書かれた三人誌の短篇集です。
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微笑みと微睡み / 泉由良
¥500
駅のなかにあるカフェは、凹凸のある厚手のギフト用ボックスで出来ている。 駅自体はこの街で一番大きな建物だ。否、駅のなかに街が造られたのだろうか。 たぶん私たちは、本当に永いあいだ安らかに暮らしてゆけるし、終わりなんてものはこない。その証拠に、私はいつからこの家に住んでいるのか分からないし、自分が何歳なのかも知らないのだから。それが、この街に住まう者のルールだと、私はそう思っていた。 ********** 駅のなかの迷宮のような街のなかに住まい、死や別れ、日々の終わりを過ごすこと無く生きてきた住人たちのひとりの女性はある日、街の外に脱出を試み失敗した友人を喪う。 「この街の秘密が知りたい?」 酒場で出合った少年が蠱惑的に問う。この街でたったひとりだけ歌を歌える人間、陶子。 街の仕組みが綻び始めてゆく……この本は、何処へ? シュールなファンタジィの夢と目醒め。(88頁) 本書は2002年ウェブサイト「浮遊区域」に掲載していたものを元に、 2014年に雲上回廊『幻視コレクション 想い焦がれる追憶の行方』に寄稿した「微笑みと微睡み」に加筆をしたものになります。
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ミルチリカル / 泉由良
¥700
──こんな風に失くしてきた、これからも失くしてゆくだろう── 忘れ続けるままに、 一生逃れることの出来ない少女期の記憶を掬い上げる為の、少女小説集 「可愛い」でもなく「せつない」でもなく、恋でも友情でもなく、ただのリアル、そして記憶。〝少女〟小説と呼ばれることを何よりも嫌悪した著者が反旗を翻したアンサー短篇集。 私たちにあるのはただ、失くし続ける記憶と孤独のなかで生きてきたことを、覚えていられるかどうかの齟齬だ。 或いは、あなたが標本室で観賞する、異質な「少女」たちのサンプルブック。 ○ 目次 アラベスク Lost girls calling. さよなら楓ちゃん 雨、ぶどう、アイスミルク 行きたいところ ヘディ・ラヴァーズ 海のいきもの その町のウォッカ・バー (文庫・212頁)